CAMPFIREのクラウドファンディングにて目標金額を大きく上回る355%達成によりSUCCESSした個人制作のボードゲーム「エルフィンクラフト〜失われた魔法の秘宝と暗黒の魔竜〜」の制作過程とクラウドファンディングを成功させる事ができた様々な施策について共有したいと思います。
昔に比べてボードゲームの制作は個人でも気軽にできるようになりましたが、ボードゲームの制作は意外とお金がかかります。
カードやチップなどの中身に説明書、化粧箱とボードゲームとしての体裁を整えるだけでも多くのパーツが必要となり、それぞれに制作費がかかります。
また、印刷会社でカードの印刷などを頼む時は1セットや2セットといった細かい単位での注文はできない所がほとんどで最低ロット50、100セットとなります。例えばエルフィンクラフトのカードだけで1セット当たり1500円以上掛かっていて100セットなら15万円以上掛かります。カードだけで15万かかるなら他のパーツも合わせると個人制作ではなかなか捻出しにくい金額となります。
一昔前までは資金面で制作を諦めたことでしょうが、今はクラウドファンディングがあります!
クラウドファンディング(以下CF)は様々な会社が存在します。私はCAMPFIREを選んだのですがkickstarterやマクアケ等も良いと思います。特にボードゲームの支援金を募るならkickstarterは沢山のボードゲームのCFが掲載されているので参考になります。
私はCAMPFIREを選びました
様々なCFがある中で私が選んだのはCAMPFIREです。日本発のCFであり、当時宣伝も多くされていたので選びました。kickstarterは英語ページを作ったりと敷居が高いですが、成功した時の支援金の集まりはCAMPFIREよりも多くなると思います。
私の場合は初めてのボードゲーム作りで初めてのCFということもあり、大風呂敷を広げすぎないようにkickstarterはやめました。また、エルフィンクラフトの前にCF失敗したボードゲームが2つあったのでページ作りなどにも慣れているCAMPFIREで再挑戦という形としました。
CAMPFIREにして良かった点
- ページが作りやすい
- 手数料割引きキャンペーンが頻繁にある
支援を募るページがとても作りやすくホームページ感覚で作れます。手数料の割引キャンペーンも頻繁に実施しているのでタイミングを合わせてCFを公開できればベストですね。
CAMPFIREにして悪かった点
- ボードゲーム系のCFが少ない
kickstarterには大量のボードゲームのCFがありますが、CAMPFIREはとても少ないです。エルフィンクラフトの時はカードゲームでとても人気のあるCFが同時期に公開されており、そちらのゲームを支援した方がエルフィンクラフトを支援していただくパターンも多かったです。
やはり多くのボードゲームが公開されている方が相乗効果的な支援が期待できると思います。
CFで効果的だった3つの施策
1.Twitterの活用
エルフィンクラフトのCF成功のすべてと言っても過言ではないのがTwitterです。個人でもお金を払えばゲームを宣伝してもらえるサービスは沢山ありますが、宣伝費にお金をかけるくらいならゲームにお金をかけたいのが本音です。
Twitterは無料で誰でも利用でき、フォロー機能などを使えばボードゲームの好きな方に自分のゲームを知ってもらうことができます。どんなに面白いゲームでも知らない物は買えません。
その点、ニッチなジャンルであるボードゲーマーの方にダイレクトで情報を伝えることができるTwitterの活用は個人制作でボードゲームを作るなら必須だと思います。
私のTwitterのフォロワーは当時140あまりと多くありませんがフォロワーのフォロワーも当然おられるのでフォロワー数以上の知ってもらうチャンスがあったと思います。
また、これは自慢になりますが私のフォロワーの方々は良い方しかいなかったのも良かったと思います。元々、ボードゲームを嗜む方に悪いイメージは一切ないのですが本当に丁寧で優しい方ばかりです。CF中も事ある度に感謝を伝えていたのですが今でも心より感謝しています。どこの誰かも分からない人間の面白いかどうかも分からないボードゲームを応援してくれる方が大勢いてくれた事実だけでもTwitterを使う価値は十分あると思います。
2.活動報告を沢山しました
CAMPFIREの機能に活動報告というものがあります。文字通りゲームの制作状況を伝えたり、支援金額に合わせて設定されているストレッチゴールの事など伝えるものです。
エルフィンクラフトは全くの無名で知名度ゼロのゲームです。既存ゲームのシステムをそのまま流用したわけでもないのでゲーム内容を伝えるため活動報告を沢山しました。最終的に50近くの活動報告となりましたが他のボードゲーム系のCFでここまでの数は見たことがありません。頻繁に更新されると鬱陶しいと感じる方もいるかも知れませんが気持ちを伝える術の一つとして存分に活用しました。
3.事前告知をしました
CFのページを公開前から告知して事前のお気に入り登録をお願いしました。CF始まった時にお気に入り登録ゼロではいかにも不人気な感じがしたので公開1週間前には告知しておくと良い気がします。CF終了時には105人ものお気に入り登録をいただけました!
CFでこだわった3つの事
人によっては馬鹿馬鹿しいと感じるこだわりも時に良い方に作用することもあると信じてこだわった点もあります。一般的なCFの常識とは違うので参考程度に見ていただければと思います。
1.仲間内など身内に頼らない
CFでは総支援金の3割程度は身内系からで残りが今まで関わりのなかった方からの支援であるというデータもあるみたいです。特にプロジェクト開始時からスタートダッシュを決めると成功率がよくなり人気のあるプロジェクトと認識され、より多くの支援が期待できます。そのため、事前に身内系に声をかけてスタートと同時に大量の支援をしてもらうのが通例となっています。
私は声を掛けられる人が周りにいなかったこともありますが、それ以上にこの集め方があまり好ましく思えません。勢いで支援させるというか雰囲気で煽るみたいに感じられます。実際にエルフィンクラフトでは身内には誰も声を掛けずプロジェクトをスタートさせ初日は4人の方の支援をいただきました。身内を使えば10人くらいのスタートも可能だったかもしれませんが、この4人の方の本物の応援の方がスタートダッシュより私が大切にしたかった価値あるものだと自負しています。
2.早期支援特典で煽らない
早期購入特典とは同じリターンでも早くに支援していただいた方に支援金額の割引をすることです。これもCFが推奨するスタートダッシュを決めるための施策です。誰でも同じリターン内容なら少しでも少ない金額で支援できた方が良いに決まっています。早期購入特典は大体数量限定となっていて早くしないと無くなるよと、金額と限定数で早期の支援を促す感じです。
私の考えとしてはメジャーなリターンなら早期購入特典もアリだと思いますが、エルフィンクラフトのような無名の品なら逆効果になるのではと思います。効果的な宣伝がほとんどしていないのでたまたま、エルフィンクラフトを見つけて支援した方もいると思います。早期で知る術がなかっただけでゲームを楽しそうと思っていただけた気持ちは早期に購入する方と同じだと思います。
そこでエルフィンクラフトでは早期購入特典はお礼メール付きだけとして支援金の割引は無しとしました。これにより後から知った方にも不平等なくご支援をいただけたと思います。早期購入特典が残っていた状況でも通常のリターンを選ばれた方もおられたので一応成功した施策だったのではと思います。
3.ゲームが面白いと自分で判断しない
エルフィンクラフトはCAMPFIREの活動報告やTwitterを活用してゲーム内容やアートワークを紹介していましたが、自分からゲーム内容がめちゃくちゃ面白いとか神ゲーです!と言ったことはありません。私の中ではエルフィンクラフトは紛れもなく遊びやすく手軽でそれでいて繰り返し遊べる奥深さもあるとても面白いボードゲームだと思っていますが、ゲームの面白さの価値は人によって異なります。私は製作者なので面白いと思うのは当然のですが、エルフィンクラフトが面白くないと感じる方もおられると思います。
そのことも考えて、敢えて面白いです!とは言わずに楽しいかも?程度に留めていました。既に世に知られて広く周知されているボードゲーム以外では面白い面白いと言われても説得力がありません。
もし、エルフィンクラフトが面白いと思う方が大勢いれば、私も胸を張って「エルフィンクラフトは神ゲーです!」と言います。
プロジェクト成功の理由は?
私なりにこだわった施策がうまく機能したかは定かではありません。CAMPFIREの進める施策と逆行している部分も多いので真似はしない方がプロジェクトの成功率は上がると思います。
CFは思いを伝えて支援していただく場であると考えているなら、こだわりを持って取り組んだ方が結果が伴わくても自分が納得できる形になると思います。エルフィンクラフトのプロジェクトでは見る人が見れば稚拙で落書きとも思われるかもしれないアートワークにこだわり、世界観の構築にこだわり、様々なことにこだわった結果がプロジェクトの成功につながった理由だと思っています。