エルフィンクラフトの世界観をより深く知ってもらうための内容です。ボードゲーム制作で世界観の設定に困った時の参考になればと思います。
ボーンドラゴン(骨ドラ)
エルフィンクラフトの最初期より完成していたカードの1枚で、私自身もお気に入りのカードとなっています。ファンタジーと言えばドラゴンは欠かせない存在でその中でも異質となるゾンビ系のドラゴンに分類されます。現実世界では亡くなったものが動くことはありませんのでファンタジーならではのキャラクターです。
エルフィンクラフトにおいては魔法生物という謎設定があります。本来、魂や意思を持たない植物や杖や帽子に意思や魂が宿るというもので魔力の力で魂を創り出し、その魔力を物体に封じ込めものが魔法生物となります。
ドラゴンゾンビの設定のイメージ
ドラゴンゾンビやアンデッドドラゴンなどと複数の呼称がありますが、姿かたちのイメージは骨だけのドラゴンです。死んだドラゴンが何らかの形で蘇る、若しくは操られるアンデッドモンスターです。体は腐敗し欠損部分が多く骨が剝き出しになっている等、おどろおどろしさを想像させます。
意思を持たず操られている場合は暗黒の魔法使いなど悪者との主従関係であることが多いと思います。そのため、破壊の限りを尽くす悪い系のドラゴンの役回りです。聖騎士がドラゴンゾンビに跨り、魔王に立ち向かうイメージはないですね。
アンデッド系のモンスターのためゲーム中のラストボスに使われることはなく、ゲーム中盤のダンジョン内のイベントボスなどメインストーリーと関わりが薄いサイドストーリーでの登場が似合っていると思います。ラストボスとしては意思を持たないの設定が邪魔をしてストーリーの深みがでません。かといってゲーム序盤に登場するには強キャラ感がありすぎて違和感を感じます。
一般的なイメージを逆手にとってオリジナリティを出すのも面白い設定になるかもしれません。新しいイメージを遊び手に伝えるのに苦労しそうですが上手く伝えることが出来れば斬新な設定になると思います。
エルフィンクラフトにおけるボーンドラゴンの設定
「魂を持たない不死身のドラゴン。」
グローリーの地下城塞に棲む骨だけの姿のドラゴン。強大な魔力を秘めており他のドラゴンたち入れの比ではない力を持っています。
魂は別の所に存在しその魂が失われないかぎり死ぬことがない不死身のドラゴンです。魂は世界中に散らばったボーンドラゴンの骨に少しずつ閉じ込められており、骨を集めた者の意思に従うようになります。
DX攻略本のフレーバーテキストです。魂を持たないとありますが、本能の赴くまま暴れるイメージとも異なる設定となっています。ボーンドラゴン(以下骨ドラ)は不死身という力を身に付けています。自らの魂をいくつかの骨の欠片に封じ込め各地に散らばせることでその不死身を維持しています。
さながらパイレーツオブカリビアンという映画に登場したデイヴィジョーンズのようなイメージです。デイヴィジョーンズというキャラクターは心臓を別の場所に保管されているため不死身を実現しています。パイレーツのストーリーにおいてその心臓を刺されると絶命してしまいます。第三者の手に渡ってしまうとその者の命令に従わざるを得ない状況となります。
骨ドラにおいても同じような設定があり骨の欠片を集めた者の意思に従うというフレーバーテキストの文言にあるとおり、骨の欠片を破壊されると不死身ではなくなってしまいます。この設定を基にゲーム中では骨の欠片を集めることが骨ドラのカードを場に並べる唯一の手段となっています。世界観とゲーム内容を組み合わせる手法は他のカードでも試みています。
ボーンドラゴンストーリー考察
フレーバーテキストではグローリーの地下城塞に棲むとあるように現在はグローリーの地下に棲んでいます。グローリーとはエルフィンクラフトの4大国家のひとつでグローリーの王は無類のドラゴン好きでドラゴンをペットにする愛犬家ならず愛竜家です。ある時、グローリーに現れた骨ドラの捕獲に成功するも制御不能の圧倒的な魔力の前になす術もなく、使役しているペットのヘルバウンド種のドラゴンの力もあり何とかグローリーの地下に幽閉することができました。
グローリーの地下城塞は広大ですが暴れ狂う骨ドラにより1/3が破壊し尽くされ、その地下エリアは骨ドラ専用のスペースと化しています。グローリーの王は何とか骨の欠片を集めて骨ドラを従わせたいと考えています。
骨ドラはカード以外にもDX攻略本の表紙にも登場しています。これは私自身が気に入っているだけの理由だけではありません。DX攻略本の表紙はエルフィンクラフトの世界において過去にあった大きな戦いを描いたものです。DX攻略本内の記述にもありますが3500年前の戦いです(エルフは長寿のため今の感覚でいうと200~300年前くらい)。
このことから少なくとも3500年前から骨ドラは存在していました。表紙に描かれた骨ドラはカードの骨ドラと同一のドラゴンです。命を失うことがない唯一無二の存在です。
魔法生物として生み出したのは誰なのか
何千年も前から今なお存在する骨ドラはアンデッドドラゴンであることから一度死んでいます。死んだ亡骸に魔力を加えることで復活を遂げた魔法生物という存在です。
骨ドラが魔法生物になる前は偉大なるエンシェントドラゴンとしてドラゴンを束ねるドラゴンの王のような存在でした。多くのエルフたちが苦しめられたエンシェントドラゴンの討伐に動いたのが過去の偉大なる魔女たちです。
偉大なる魔女たちは深層世界という別空間にエンシェントドラゴンを誘い込むことに成功しましたが討伐には至らず、逆に深層世界を乗っ取られてしまいます。深層世界と現実世界を自由に行き来できるようになったエンシェントドラゴンでしたが、やがて寿命を迎えます。深層世界に誘い込んだ魔女たちの子孫はこの期に魔力を結集させボーンドラゴンとして生まれ変わらせることに成功しました。永い間の恐怖する存在を深層世界のガーディアンのような存在にしようとしましたが、骨ドラを制御できる骨の欠片を時代と共に失っていき、やがて誰も制御できなくなりました。自由を手に入れた骨ドラは自然へと解き放たれました。
骨ドラにまつわる魔女たちの記憶は現世にも引き継がれており、何度も同じ過ちを繰り返す悲しすぎる(まぬけすぎる?!)過去として記憶に留められています。
ボーンドラゴンのアートワーク
骨ドラのアートワークでこだわったのは異形にならないようにすることです。アンデッドモンスターはなるべくおどろおどろしくした方がかっこいいのですが、異形にならないデザインを心掛けました。エルフィンクラフトは対象年齢も低く設定させていただいたので小さなお子様に見せても安心なデザインにすることは大切です。
また世界観からスッキリしたデフォルメが基本なのでそこに準じています。
生物的な雰囲気を出さないように
蘇った感じや生き物感が出ないようにすることにもこだわりました。画像はパソコンのキーボードにカードを乗せて撮ったのですが、無機質な感じメカっぽい感じに仕上げたかったのでイメージを重ね合わせてみたものです。
今回は骨ドラについて考察しましたが、他のドラゴンも細かな設定を考えています。Twitterでボードゲームは世界観も大切だという方もおられましたのでボードゲームを制作する時は細かな設定もあるとゲームに深みが出るかもしれません(単なる自己満足かもしれませんが。)